低金利が続き、誰もが「運用難」の時代ですが、こうした時期に根強くはびこるのが投資詐欺です。冷静に考えればおかしいと思ってしまうようなものでも、少しでも「信じたい」と思った時点で負けなのでしょうね。
人間は残念ながら見たいと思うものしか見えませんし、聞きたいと思うものしか聞こえません。信じたいと思ったが最後、自分に都合のいい情報しか頭に入ってこなくなるのではないでしょうか。
最近でもみずほ銀行を舞台にした投資詐欺が紙面をにぎわせています。みずほ銀行の現役幹部行員であった、審査部審査役である人物が月に3%、つまり年間40%近い利回りを保証して「特別枠のファンド投資」を名目に資金を集めたという事件です。
被害総額は何と数百億円という指摘もあるようですが、これだけ被害が広がった背景としては、資金を集めたのが上記の通り、みずほ銀行の現役幹部行員であったことに加え、みずほ銀行本店の応接室で説明を行い、「みずほ銀行が元本を保証します」と安心させたからですね。
これは演出としてはやはりなかなかの説得力だったのではないかと思います。
以前も丸紅を舞台にした詐欺事件で、丸紅の社員が応接を利用して詐欺を行ったことがあり、確か丸紅にも一定の責任があるという判決が出たと記憶していますが、今回もそれに倣うのであれば、みずほ銀行も責任は免れないということになります。
被害者の心象や、元幹部行員氏の救済能力などを勘案すれば、みずほ銀行に一肌脱いでほしいという気持ちはわからないではないですが、とはいいつつ使用者として必要な管理責任を果たしていたとしても防げたかと言うと微妙な気はしますね。
応接室全てに盗聴器をつけてモニタリングするというわけには行きませんし・・・。
被害実態と、その責任の行方について注目したいところです。
さてこのような投資詐欺ですが、今後景気が本格的に回復し、金融市場が過熱してくると、さらに増えるのではないかと懸念してしまうのは記者だけでしょうか?
なんらかのバブルに乗り、短期間で財を成した人が実際に登場してくると「ウマイ話はある」という誤解を生みやすいですし、「乗り遅れてしまった」という焦りが、こうした甘いささやきに心を開いてしまうスキを作ってしまうからですね。十分お気をつけください。
それに関連してネットで見つけたのが上記コラムですが、要するにタイのパタヤでのマンション販売資料に以下のような文言が踊っているということです。
「このマンションに今投資すれば、払い込んだ時点から年間利回り13%を20年間にわたり保証します! さらにマンション建設の5年後には、購入額の100%で買い取り保証! 10年後には2倍の価格で、20年後には4倍の価格で買い取り保証します! 今なら、さらに購入額の10%を即キャッシュバック!」
なかなかの破壊力ですね・・・。20年後のリターンを計算するとこういうことになります。
・年間利回り13%×20年=260%
・20年後の買取保証=400%(4倍)
トータルで660%ということですね・・・もちろん実際にはこうしたリターンを期待するのは100%無理でしょう。なぜなら、それほど高いコストをかけて売るくらいなら、銀行などから資金を調達して販売した方がよっぽど楽に、よっぽど安く販売できるからですね。
いくら日本ほど低金利ではないにしても常識的に考えれば10%未満の調達コストでマンション建設資金を手当てできそうです。だとすると13%の利回り保証をつける必要など一切ありません。
そもそもそこまで高いリターンが期待できるなら、販売する必要すらないですね。ずっと自社で「カネの成る木」として大切に育てればいいはずです。
上記コラムの続きでは現地の専門家が以下のように解説しています。
「タイでは不動産価格の上昇から、ありえないような利回りを宣伝して、まだ建てられてもいないコンドミニアム建設予定の権利を先に売りつけて、実際には建設が終わる前に開発会社が倒産してしまったり、欠陥住宅のような物件を売りつけたりする被害などが増加しているのです。」
それが正しいかどうかは記者には判断できませんが、少なくとも何かウラがあるのは間違いないですね。
ちなみにこの660%の物件については、購入者の半分が外国人であり、その中には数十人の日本人も含まれるということですので、全く他人事ではありません。
冒頭ご案内したみずほ銀行の例でもそうですが、こうした怪しい投資話を目にした場合に、「なぜ安くて安定的な銀行ローンを利用せずに、わざわざ高いコストを払ってまで個人から資金集めをするのか」考えてみる姿勢が重要です。
みずほ銀行には金利が0.01%以下の預金が大量に眠っているわけで、年利40%近い資金をあてにする必要などこれっぽっちもありません。
そう考えると高い利回りをエサに個人の資金を集める投資話は99.9%・・・いや100%デタラメということですね。ぜひ虎の子であるご自分の預金を守り抜いていただければと思います。
参考になさってください。
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