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貯金・定期預金コラム:
アブラハム、元本安心で資産を2倍以上に増やすって・・・
反省してる?

定期預金や貯金に関連する最新のニュース、コラムから感じることを徒然なるままにつづっております。少しでも読者のみなさまの参考になれば幸いです。今回、取り上げる記事はこちらです。

アブラハム・ウェルスマネジメント




※抜粋

編集部からのコメント

当方のサイト上でアヤシイ投資商品の広告が表示されているのを見たのをきっかけに、これまで連続してそうしたグレー商品の危険性について素人なりに分析してきました。

そして今回も同じようにネット上で怪しい広告を探していたところ・・・見つけたのがアブラハム・ウェルスマネジメントの刺激的な広告です。

・元本安心で資産を2倍以上に増やす
・知的な富裕層が実践している投資術

といった扇動的な言葉が並んでいますが・・・正直、「またやってるの!?」という感じですね。アブラハム社といえばグループの中核であるアブラハム・プライベートバンク株式会社が2013年10月に関東財務局から以下のような事由により行政処分を受けています。

1.無登録で海外ファンドの募集又は私募の取扱いを行っている状況

2.著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為

3.顧客の利益に追加するため財産上の利益を提供する行為

どれもまぁひどい内容でありますが、結果的に6ヶ月の業務停止と業務改善命令を受けたのですね。これでこの問題は一件落着かと思いきや、先日ご案内したように今度は別の会社であるアブラハム・ウェルスマネジメント社を使って顧客の勧誘を再開したのですね。

>>>アブラハムウェルス・・・「いつかはゆかし」再び!?

ただこの時はまだ「財産を殖やしたい。でも損はしたくない!」という内容で、問題はあるもののまだ抽象的でした。



ところが今回は「資産を2倍以上に増やす」というより直接的な内容となっており、あっさり一線を踏み越えた感がありますね。監督官庁は一体何をしているのでしょうか?

それはともかくとして、この「元本安心の海外投資メソッド」なるものの中味を推測したいと思います。まず同社HPでコメントされているのはこういう概要です。

・元本を確保した上で財産2倍のリターンを目指す
・米国政府が元本を保証してくれる
・円の価値下落リスクに対応できる

まずそもそも論ですが、「元本確保」と「元本保証」は全く違う概念です。「元本確保」は元本を守ろうとする仕組みですが、当然守れないこともありえます。一方、「元本保証」は完全に元本が守られることを意味します。

これを混同している時点でアウトですね。同社ホームページを見ると行政処分に対する対策としてこのように述べられています。

・新たに外部から「広告等審査責任者」として10年以上の経験を有するコンプライアンス担当・役員を招聘とすると共に、「広告等企画責任者」には、金融業界(証券会社)に在籍経験があり広告等に関する規制にも精通している管理職の社員を充てることにより、自社の広告審査態勢を強化致しました。

残念ながら「広告等審査責任者」も、「広告等企画責任者」も全く無能ということですね。監督官庁は何をやっているのでしょうか。

それはともかくとして、米国政府が元本を保証してくれるのはアメリカ国債以外にありません。政府系機関の発行する債券については「暗黙の国家保証」がついていますが、これはあくまで「暗黙の」であって100%保証されるものではありません。とするとベースとしてはアメリカ国債に投資する商品ということですね。

だとすると3つ目の「円の価値下落リスクに対応できる」という点と矛盾しませんが、逆に言えば思いっきり米ドルリスクを取ることになります。為替リスクですね。しかしこの為替リスクには一切触れられていません。

「元本安心」「元本確保」「元本保証」といった言葉が並んでいますが、いずれも「米ドル建てでは」ということですね。この重大なリスクに触れていないのはもちろん深刻な問題です。

それはともかくとして、そこから「元本を確保した上で財産2倍のリターンを目指す」という言葉と結びつけるとおそらくこうした商品なのではないかと思います。

・投資資金の大部分をアメリカ国債に振り向けつつ、毎年の国債利息の範囲内で積極的な投資をする商品

要するに「利息の範囲内で遊ぶ商品」ということですね。これなら確かに利息が吹き飛んでも元本は確保されることになります。ただしこのスキームを利用するには全体をマネジメントする投資信託会社や投資顧問会社を利用する必要がありますので、こうした会社の破綻リスクは残ります。こうしたリスクが純粋な元本保証とは似て非なる点です。

では現在のアメリカ国債の金利はと言うと約1.9%ですね。仮に年間2倍を目指すハイリスク・ハイリターンの投資を行い、それが成功したとしてもトータルで約4%のリターンにしかなりません。2倍になるのは「72の法則」を利用すると18年間かかるのですね!

で、同社のページを読み進めてみるとこういう記述があります。

・15年間で2倍を目指しています。
・15年間で1.5倍を目指しています。

意外と本当にこうしたスキームなのかもしれませんね。

ただしもちろん実現不可能です。と言うのも利息分の運用につき、年間2倍のリターンを安定的にたたき出すことなど不可能だからですね。結局、リターンとリスクは比例するものだとすれば、期待値はもとの約1.9%に収れんするはずです。

仮に1.9%で2倍にしようと思えば38年かかることになります。リスクをとっても18年間かかるのであればリスクなしの38年の方がいいと思われる方もおられるかもしれません。

しかし。

そう簡単にお金を増やすことはできません。と言うのもアメリカはインフレの国(というかデフレの国の方が珍しいですが)。2014年のインフレ率は1.98%だったようです。

つまり・・・いくら1.9%の利息が出ても物価が1.98%上昇するとすれば、むしろ元本割れしてしまうのですね!そうしたわけで、15年にせよ、38年にせよ、額面はともかくとして、実際の貨幣価値として1.5倍や2倍になることはあり得ない、ということになります。

だとすれば同社の謳っている投資スキームは完全に虚構ということですね。監督官庁は一体何をやっているのでしょうか・・・。

と言うわけで実際の表現をいくつかピックアップしていきたいと思います。



上記の通り成功しても、インフレリスクや運用リスク、外貨リスクにスキームリスクを加味すれば、財産が2倍に増えることはまずありえません。加えて一定の報酬が取られるでしょうから尚更、実現困難です。

と言うか「ハズレの無い宝クジ」という表現を、10年以上の経験を有するコンプライアンス担当・役員である「広告等審査責任者」や、金融業界(証券会社)に在籍経験があり広告等に関する規制にも精通している「広告等企画責任者」が許したのでしょうか!?



他の金融機関がおすすめしないとすれば、それは上記の通り顧客が儲かる可能性が低いからでしょうね。

と言うか「米ドル建ての元本確保商品」など、生命保険を中心に数多く提供されているわけで、「日本で初めて」というのは一体どういう見識なのでしょうか・・・。

そもそも「金融機関側があまり手数料を取れず、儲からなくなるのであまり言いたくないのです」と言うのは全く事実無根です。日本の銀行にとって一番儲からないのは普通の預金でしょうからね。

しかし何より衝撃だったのは以下の一文です。



何と、2013年10月の6ヶ月の業務停止と業務改善命令については完全にスルーです!マジですか・・・。

いやもう本当に監督官庁は何をやっているのですかねぇ。

最後にどうしてもアメリカ国債に投資したい、あるいはこのスキームに挑戦したいという方はネット証券を通じて自分でアメリカ国債を購入して、その利息で好きな投資をすれば、より透明性が高く、より安全に、より低コストで再現できることを付け加えさせていただきます。

参考になさってください。


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